良い組織はトラブル時にも人ではなく事象を責める

今日は『罪を憎んで人を憎まず』は会社組織にも当てはまるということを解説したいと思います。
会社という組織に属する以上、トラブルに直面することは多いでしょう。
組織の良し悪しは、このトラブルが起きたときにどう対処するかで変わってくると思います。
では、どのような対処が良い組織を育むのでしょうか?
結論:良い組織は事象や仕組みの問題を見出す
いきなり結論です。
良い組織はトラブルが起きた時にも人を責めません。
人はミスをする。という前提の下、ミスを最小限にするための仕組みを構築します。
また、ミスが起きてしまった時に、ルールやガバナンスに欠陥がなかったか。をまず第一に疑います。
事情聴取は叱責ではない
事情聴取されると、ミスを責められている感覚になることでしょう。
実際はミスを攻めたいのではなく、
『なにが原因でトラブルが起こったのか、正確に知ること』
を達成したいのです。
そして、良い組織のリーダーは、事情聴取の際にも責められている感を出さないよう、配慮しています。
過剰な配慮は逆効果
ミスを責めたいわけじゃない。という感じを前面に出しすぎると、返って責任を感じさせてしまう場合があります。
特に若くて責任感の強い人は、過剰に自責の念を持っていることがあります。
自らが自らを責め立ててクラッシュしてしまうパターンです。
重大さと適当さの使い分け
過剰なプレッシャーを与えないための立ち振る舞いは、その人の性格にもよるので、非常に難しいです。
そのため、起こってしまったことに対しては真摯に向き合い、その人のミスに対してはライトに。という使い分けが重要です。
事例で考える
私は品質管理部に所属しているので、品質試験を生業としています。
試験に必要な消耗品の在庫が切れており、納期に間に合わなかったとします。
最後に使った人が発注を忘却していた。という事象です。
これは発注忘れをした人が悪いのでしょうか?
仕組みにフォーカスして、どうすればよかったのか考えてみましょう。
仕組み上の欠陥
消耗品の在庫切れが起こってしまった原因として、いくつか考えられます。
- 発注の担当を決めていなかった
- 発注のタイミングを決めていなかった
- 発注ルールを明確にしていなかった
人の感覚に頼って在庫管理を行なっていると漏れが発生します。
この事象の仕組みを考えるならば、以下が挙げられます。
- 残り3個になったら、その時点で使った人が発注する
- 消耗品保管場所に、『残り3個になったら20個発注する』と表示
- 発注済み、納品待ちの場合は『納品待ち』と表示したタグをかける
などでしょう。
DXが推進されている昨今ならば、そういう在庫管理システムもあるでしょう。
しかしながら、消耗品の在庫管理のように、業務の枝葉の部分に投資できる会社は決して多くないはずです。
仕組み化の肝
仕組み化するためのポイントは次のとおりです。
- 人の記憶に頼らない
- 現在のステータスが見えるようにする
- ルールを明確にする(手順化)
できるだけ上流で不備が起こらないブロックと、不備が起こってしまったことを早めに検出できる仕組みを、最悪挽回できるタイミングで構築しておくこと
が重要になります。
人に頼る運用はリスクヘッジの限界があります。
そのひとが忘れてしまったら?その人がいなくなったら?
この問いに『であれば、こうする』というアンサーが明確にないものは危険信号です。
仕組み化が講じられているものは、自然とその仕組みの悪さに目が行きます。
良い組織=人を責めない=仕組み化にとりくんでいる=リスクが少ない=管理に信頼がある=品質に信頼がある
と言い換えられます。