係長の重要な役割『吹聴』
少なからず、偉くなってしまうとその人の行動、マインドは変わってしまいます。それは良い意味でも、悪い意味でも。です。
係長から課長になったひとを見てきた人はなんとなくわかるかもしれん。

良い意味では、『◯◯さんは◯になって、また凄みが出てるよね!より一層バリバリ働いてるよね!』という、目に見えるステップアップです。
他方、悪い意味では、『あの人は立場が変わって、考え方が変わってしまった。現場理解があるから、偉くなっても現場の味方だと思ったのに』
ざっくりこんなイメージです。
当然、立場が変われば、良くも悪くも考え方を変えなくてはいけません。そして、立場が上になればなるほど、現場理解とはかけ離れていくものです。
さらに『肩書き』は、それがあるだけで異なる視点で見られて、上に行けば行くほど、現場から遠い人として認識されてしまいます。
もちろん、現場出身の幹部は、直接的な成果創出は現場の働きがもたらすことを理解しており、敵対視したいなんてことはありません。
しかし、会社の命運を直接的に掌握するからこそ、言葉選び一つとっても慎重になってしまうのは致し方ないことです。
ここで、係長の立ち回りが重要になります。
右腕が水面下で地盤固め
まず、幹部会議で話されるようなことは、部下には公にできないことがほとんどです。
組織変更や新規ジョブは水面下で地盤を固めつつ、開示する時点で80パーセント程度には持っていく必要があります。
幹部も人間なので、右腕になる人に、事情を話したくなります。そして協力してもらった上で地盤固めを進めないと到底達成できないのです。
右腕はそう、係長です。
係長は変化の比較的現場に近く、かつマネジメントを行う立場なので、マネージャーにとっては情報収集の窓口になります。
つまり、係長は現場と幹部をつなぐ、重要なパイプラインとしての役割も持たなくてはいけません。
係長のミッション発生
パイプラインとして適切に振る舞うことができれば、部下に公にできない情報を入手することができます。
さらっと『これって何か目的あるんですか?』なんて聞いてみたら、『実はなー、、、』という感じで情報を抜き取ることができたりします。
ただし、この情報を抜き取って終わりではもちろんダメです。
ここで係長のミッションが発生します。これが『吹聴』です。
吹聴
これは、ライトに部下に情報の一部をチラ見せします。
『課長はああ言ってるけど、じつは重要なジョブが控えててね。』
『◯◯について、大幅な見直しが必要で、今事実確認と改善点を洗い出してるんだよ』
『この逼迫している状況だから、課長も増員に取り組んでくれてるんだけど、なかなかね、、』
のように、最低限開示できる範囲から解釈を持ってアレンジし、現場に伝えます。
これは現場のモチベーション維持と、課長の悪評緩和による職場環境維持が目的です。
係長は課長にたいして一方的に情報屋になるのではなく、現場に対しても情報屋にならなくてはいけません。
吹聴の注意
もちろん公にできない情報を手にすることは、その取り扱いに責任を持つ必要があります。注意点を列挙します。
- 不確定すぎる情報はチラ見せしない
- シークレット度合いを見極める
- 悪評を加速させないように注意
- アレンジが嘘にならないように注意
- 具体は出さない。チラ見せはぼやっとした部分を
情報はとにかく濁す。といえば聞こえが悪いかもしれませんが、なにか動きがあると部下は不安です。
不安を解消し、現場作業に支障が出ないよう、モチベーションを,コントロールするためだけにチラ見せしましょう。
さらに、課長やそれ以上の人たちの見えない努力や現場への想いを吹聴することが重要です。
立場の離れた人とは、会話しない日もあるかもしれません。そんな中で想いを知ることは非常に難しいでしょう。
係長にはプレイングマネジメントのみならず、吹聴という重要なミッションがあるのです。